エネルギー・タンパク・水分投与量の簡易式

重症者以外の1日必要量は・・・ 簡易式 エネルギー 30kcal×体重/日     タンパク  1g×体重/日     水分    30ml×体重/日

さらに、エネルギーは活動係数やストレス係数を、タンパクはストレス係数を掛け算して算出する場合がありますが、これら係数はおおよその目安です。活動度・侵襲が高まれば必要量が増えます。必要量は動的なもの、と考えましょう。

Overfeeingを避けたい重症者や、Refeeding症候群の高リスク患者は、目標値100%の達成を急がないようにします。詳しくは以下をご覧ください。

ICU急性期栄養のページ

Refeeding症候群に注意‼

活動係数 (参考)
寝たきり 1.0
歩行 1.2
一般職業就労者 1.5
ストレス係数 (参考)
正常 0.8-1.0
軽度(小手術、骨折) 1.0-1.2
中等度(腹膜炎、外傷) 1.2-1.5
高度(多臓器不全、熱傷) 1.5-2.0
保存期腎不全 0.6-0.8
維持透析 10-1.5

必須の栄養素

タンパク g/日:1g×体重(kg)×ストレス係数 →高度侵襲、難治創、維持透析、リハビリ強化の患者さんにはとっても必要! ●脂質 g/日0.5~1g×体重(kg) →20%イントラリポス×2袋/日投与可能。水分制限(心不全など)や糖質制限(Refeeding症候群など)に有用! **●糖質 kcal/日:1日必要エネルギー量ータンパクのエネルギー量ー脂質のエネルギー量

各栄養素1gあたりのエネルギー**は常識として覚えておきましょう! **糖質:4 kcal タンパク:4 kcal 脂質:8 kcal

●ビタミン、ミネラル** 日本人の食事摂取基準を参考にします。 ●食物繊維 日本人の食事摂取基準を参考にします。 65歳未満の成人:男性 21g、女性18g 65歳以上:男性 20g、女性17g 以上を推奨。 →経腸栄養剤単独(1g/100kcalが多い)では達成が容易ではありません。

プランニングにおける留意点

制限事項の有無

▢ エネルギー制限→糖尿病、急性期、Refeeding症候群リスク ▢ 水分・塩分制限→心・肺・腎・肝疾患 ▢ タンパク制限→保存期慢性腎臓病 ★食事摂取が不十分な高齢患者さんでは、塩分やタンパク制限を厳格にせずに常食を提供したほうが、もっと食べられる場合があります。

強化したい栄養素の有無

▢ 脂質→糖質分のエネルギー代用(糖尿病、Refeeding症候群リスク) ▢ アミノ酸→アルギニン:難治創治療、BCAA:肝硬変、リハ強化(筋肉) ▢ ビタミン→難治創治療中 ▢ 微量元素→Zn:味覚障害、Se:長期人工栄養による欠乏対策 ▢ 食物繊維→腸内環境の改善

病期に応じたプランニング

▢ 高度侵襲期・Refeeding症候群リスク→1週間以内はエネルギー控えめ ▢ リハビリ強化期→十分なエネルギー・タンパク投与+運動

栄養療法実践中のモニタリング

▢ バイタルサイン ▢ 体重 ▢ 浮腫、腹水、胸水 ▢ 腹部膨満 ▢ 腸管蠕動音 ▢ 腹部鼓音 ▢ 逆流症状 ▢ 喀痰量 ▢ 胃管排液量・性状 ▢ 排便回数・性状(ブリストルスケール) ▢ 経腸栄養の投与速度、方法  ▢ 食事摂取量 ▢ 血液検査項目

<aside> 💡 TP、Alb、WBC、CRP:炎症と一緒に評価。 血糖、Ca、P、K、Mg、Vit.B1:Refeeding症候群、ウェルニッケ脳症のチェック。 Na、K:人工栄養中は不足・過剰など起こり得る。 BUN、Cr、尿タンパク:アミノ酸負荷による腎への影響をチェック。

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患者さんが入院したら…初期研修医がひとりで始められる栄養管理! | 下馬栄養倶楽部

わがNSTのホームページ「下馬栄養倶楽部」の記事もご覧ください。

日本人の食事摂取基準

厚生労働省が公開している日本人の食事摂取基準のページです。